今回はこんな悩みにお答えしていきます。
SESや派遣として就職してキャリアアップしようと考えている方も少なくないはず。
ところがSESと派遣の違いをよく理解しないまま選択を間違ってしまうと、一生懸命取り組んだ転職活動が無駄になってしまうかもしれません。
【先に結論】SESと派遣の比較表
SES | 派遣 | |
意味 | エンジニアなどの技術者が必要な企業へ、技術者を提供するサービス | 人材を派遣してほしい企業へ人材を送ること |
雇用形態 | SES企業の中でステップアップできる 雇用が保証されている | 登録型と無期雇用型の2種類がある 無期雇用型なら雇用が保証される |
収入 | 安定して毎月の収入確保ができる | 派遣されていない「派遣待ち」の期間があれば無給 |
就職難易度 | やや難しい | 普通 |
成長機会 | 自分の意思で配属先を選べないため、 成長機会が少ない | 自分で派遣されたい企業を選べるので 成長しやすい |
働くメリット | 安定した雇用形態と収入を得られる 得意分野を考慮して配属してもらえる | 様々な技術に触れてスキルアップ可能 定期的に違う企業に派遣されるため新鮮な気持ちで働ける ワークライフバランスを調整できる 自分の得意な案件に派遣されやすい |
働くデメリット | 基本給がそれほど高くない 労働時間が長くなりがち 新しい技術を習得できない 配属先が満足いくとは限らない SES企業で働く意味が見出せなくなる | 不安定な身分で収入も安定しない クライアント企業と直接やりとりするため仲介者がいない |
向いている人の特徴 | 安定した収入が欲しい人 依頼主との面倒なやりとりなどを避けて開発に集中したい人 | スキルアップしたい・向上心の強い人 仕事とプライベートを柔軟に調整したい人 定期的に違う環境に飛び込んで新鮮な空気を吸っていきたい人 |
IT業界やエンジニア職種ではSESや派遣以外にもいくつか働き方の種類があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
自社開発・受託開発・客先常駐の違いやメリット・デメリットを徹底比較
更新日:2024年9月9日
目次
SESとは
SESはシステム・エンジニアリング・サービス(System Engineering Service)の略称です。
これらのサービスを提供する企業を通称SES企業といい、SES企業の社員はいろいろな企業の開発現場に送られることになります。
SESのポイントは、技術者への指揮命令はSES企業が行うという点で、発注元の企業(依頼主=クライアント)が技術者へ直接指揮命令することができません。
派遣とは
派遣とは、人材を派遣してほしい企業へ人材を送ることを指します。
派遣は人材を「送る」だけというのがポイントで、送った後は派遣先の企業が派遣社員を直接、指揮命令できるという点が特徴です。
SESと派遣の違い
SESと派遣を比較すると、雇用形態や収入をはじめ、就職難易度や入社後の成長機会の多さなどに違いがあるのが特徴です。
SES | 派遣 | |
雇用形態 | SES企業の中でステップアップできる 雇用が保証されている | 登録型と無期雇用型の2種類がある 無期雇用型なら雇用が保証される |
収入 | 安定して毎月の収入確保ができる | 派遣されていない「派遣待ち」の期間があれば無給 |
就職難易度 | やや難しい | 普通 |
成長機会 | 自分の意思で配属先を選べないため、 成長機会が少ない | 自分で派遣されたい企業を選べるので 成長しやすい |
ここでは1つずつ比較しながら紹介していきたいと思います。
SESと派遣の違い① 雇用形態
SESと派遣では雇用形態に違いがあります。
SESではSES企業の正社員として雇用されると、そのSES企業の中でステップアップしていくことが可能です。
一方、派遣は派遣会社に派遣社員として登録するのが一般的です。
派遣会社に登録すると「派遣待ち」となり、配属先が決まるとそのプロジェクトに派遣社員として送られます。
派遣社員は登録型と無期雇用型の2種類があり、前者の登録型で派遣先が決まったら派遣されるのが一般的です。
SESと派遣の違い② 収入
SESの場合、基本的にはSES企業社員として雇用されているためSES企業の給与水準に応じて月収が決定されます。
多くの場合、配属されたプロジェクトの数や難易度、勤務成績などを考慮して収入を上げていくことも可能で、安定して毎月の収入確保ができるという点がポイントです。
一方で、派遣は派遣されている期間に働いた分だけ給料が支払われ、派遣されていない「派遣待ち」の期間があれば無給となります。
おすすめSESの年収の限界は500万?700万は可能?【給料が上がらない理由を解説】
ただし「無期雇用型」と呼ばれる派遣の場合には常にどこかへ派遣されるため、毎月収入を得られるSESと同じような収入を作ることも可能です。
SESと派遣の違い③ 就職難易度
SESはクライアントである企業へ技術力を提供するサービスなので、しっかり対応できる技術者を送り込む必要があります。
SES企業へ新卒で入社する場合にもこれまでの開発経験などが重視されたり、場合によっては入社時に開発テストを課されたりすることもあり、就職難易度もやさしいとは言えません。
派遣の場合も技術レベルが要件として求められるものの、登録すること自体にはハードルがそこまで設定されているわけではありません。
これまでの実績や経験があればあるほど多くの企業に派遣してもらいやすくなります。
SESと派遣の違い④ 成長機会
SESの場合、自分の意思で配属先を選べないため、成長の機会を自分で作りづらいという側面があります。
技術力を提供するという使命があるものの、なかなかモチベーションを保つことが難しい場合には成長機会を見出せない人もいるのが事実です。
一方で、派遣の場合はある程度自分で派遣されたい企業を選ぶこともできるため、自分が関わりたいプロジェクトで実力を発揮することが可能です。
SESと派遣ではこのように仕組みが違うことによって成長機会にも違いがあるので注意してください。
SESで働くメリット・デメリット
SESのメリットとデメリットを紹介していきます。
SESは技術力を提供するサービスである以上、一定の技術力を持っている人材を送る必要があり、一定の待遇と高い就職難易度がセットとなっています。
それでは順番に解説していきます。
SESで働くメリット
SESで働くメリット
- 安定した雇用形態と収入を得られる
- 社員の得意分野を考慮して配属してもらえる
それでは順番に解説していきます。
メリット① 安定した雇用形態と収入を得られる
SES企業の正社員として雇用されたうえでクライアント企業へ送られるため、あくまでもSES企業から月収として毎月給与をもらえる点がメリットです。
メリット② 社員の得意分野を考慮して配属してもらえる
SES企業がある程度自分の得意とする開発プロジェクトに配属してくれるのがメリットです。
もちろん送り込み先で対応した案件の数や難易度によって成績給を上げていくこともできます。
おすすめSESのホワイト企業・優良企業の見分け方【優良企業ランキングもご紹介】
おすすめ客先常駐は楽しい?【向いている人や体験談もご紹介】
SESで働くデメリット
SESで働くデメリット
- 基本給がそれほど高くない
- 労働時間が長くなりがち
- 新しい技術を習得できない
- 配属される案件が満足いくとは限らない
- SES企業で働く意味が見出せなくなる
それでは順番に解説していきます。
デメリット① 基本給がそれほど高くない
SES企業もピンキリで、給与水準が高い企業ばかりではないのが実際のところです。
安定して収入を得られる反面、いきなり高給を得られるわけではない点がデメリットと言えます。
デメリット② 労働時間が長くなりがち
SESはSES企業から指揮命令を受けるため、クライアント企業での業務以外にSES企業内で対応しないといけない業務が発生した場合、残業する場面もよくあります。
また、クライアントからSES企業を介して間接的に指示をもらう格好になるのもデメリットと言えます。
意思疎通や開発の調整に時間がかかることもよくあるため、総じて労働時間(残業時間も含む)が長くなる傾向があります。
常駐する企業によっては「残業時間を過少申告される」「家で残業させられる」「みなし残業にまとめられる」といった手段で、実質的な残業代を減らされることがあります。こうした悪質な企業に常駐するリスクを避けられないのは客先常駐(SES)のデメリットと言えるでしょう。
デメリット③ 新しい技術を習得できない
SESは社員の技術力や得意な開発領域に応じてSES企業が送り込み先を決めるため、どうしても自分の得意な開発案件に送られがちです。
それをよしとする人もいますが、新しい技術を学んでいきたい人にとってはマンネリしてしまうデメリットもあります。
デメリット④ 配属される案件が満足いくとは限らない
送り込み先が必ずしも自分の適性に合った案件とは限らないケースもよくあります。
たとえば急な人材派遣の要望がクライアントから来た場合には人員補充的な意図が考えられます。
新しい技術に挑戦できるという見方もできますが、SES企業に調整してもらえることを期待している人にとっては不満を持つ原因になるでしょう。
デメリット⑤ SES企業で働く意味が見出せなくなる
SESは技術者を送り込むサービスなので、自分自身がどこの会社の人間かよく分からなくなる、と悩む人も多いのが事実です。
頻繁に勤務先が変わるので「人間関係がリセットされる」「新しい環境に慣れる必要がある」「現場の社員から距離を置かれる」といった精神的負担・ストレスも生じてくるでしょう。
おすすめSESだと転職できないって本当?【理由や対処法を解説】
おすすめSES・客先常駐から脱出する手順【1年目で転職しても大丈夫?】
派遣で働くメリット・デメリット
続いて派遣で働く場合のメリットとデメリットを紹介していきます。
派遣先は派遣会社が決定しますが、事前に自分の希望を提示しておくことで派遣先をコントロールしやすいというのがSESとの違いです。
それでは順番に解説していきます。
派遣で働くメリット
派遣で働くメリット
- 様々な技術に触れてスキルアップできる
- 定期的に違う企業に派遣されるため新鮮な気持ちで仕事ができる
- 私生活とのワークライフバランスを調整しやすい
- 自分の得意な案件に派遣されやすい
それでは順番に解説していきます。
メリット① 様々な技術に触れてスキルアップできる
派遣は派遣先と自分の条件が合致すればすぐに派遣されるため、人によっては短期のプロジェクトを多く経験できる場合もあります。
案件によって開発手法も異なるため、中にはこれまで試したことがないプログラミング言語やフレームワークを使って開発しているところもあります。
メリット② 定期的に違う企業に派遣されるため新鮮な気持ちで仕事ができる
さらに派遣は今の派遣先での業務が完了したらすぐ次の派遣先に向かうことができるので、常に新鮮な気持ちで仕事ができるというメリットもあります。
メリット③ 私生活とのワークライフバランスを調整しやすい
派遣は労働条件なども希望を登録しておくことができるため、人によってはワークライフバランスを重視した働き方も実現可能です。
残業もせず定時内で結果を出せるようなメリハリのある働き方もできるのが派遣の魅力と言えます。
メリット④ 自分の得意な案件に派遣されやすい
社員の過去の経験や得意領域なども含めて派遣登録しておくことで、得意分野に近いプロジェクトに派遣されやすくなるのも派遣の特徴です。
得意な開発手法を使っているプロジェクトであれば、より最高のパフォーマンスを発揮できるはずです。
派遣で働くデメリット
派遣で働くデメリット
- 不安定な身分で収入も安定しない
- クライアント企業と直接やりとりするため仲介者がいない
それでは順番に解説していきます。
デメリット① 不安定な身分で収入も安定しない
派遣はあくまでも派遣社員という非正規雇用身分となるので、いわゆる「派遣切り」を食らう可能性もゼロではありません。
特に非正規雇用の場合には、5年を超えて雇用されると無期雇用への転換が可能ですが、逆にいうと5年以内に派遣切りされるケースもあります。
デメリット② クライアント企業と直接やりとりするため仲介者がいない
派遣の指揮命令関係は直接クライアントとのやりとりになるため、案件によってはクライアントからの難しい要望や無茶な要望、多量の対応を求められる可能性があります。
SESの場合はSES企業が仲介者になるためある程度「守られている」のですが、派遣の場合自分で直接やりとりが必要となる点が手間になることもあります。
SES・派遣が向いている人の特徴
SESと派遣は仕組みも大きく異なるため、どっちが自分に合うかは人によって変わってきます。
SESが向いている人の特徴
SESが向いている人の特徴は以下の通りです。
SESが向いている人の特徴
- 安定した収入が欲しい人
- 依頼主との面倒なやりとりを避けて開発だけに集中したい人
それでは順番に解説していきます。
安定した収入が欲しい人
安定した毎月の収入が欲しい人は、SESが向いています。
SES企業の正社員として所属することになるため、送り込み先に関わらずSES企業から毎月給与を受け取ることができます。
とにかく収入を安定して持っておきたい人はSESをおすすめします。
SESと派遣を比較した場合は、SESの方が安定した収入を受け取ることができます。ただ、SESよりも安定した収入を求める方は自社開発企業や受託開発企業がオススメです。詳しくは「自社開発・受託開発・客先常駐の違いやメリット・デメリットを徹底比較」をご覧ください。
依頼主との面倒なやりとりを避けて開発だけに集中したい人
SESはSES企業から指揮命令を受けるため、クライアントから直接指揮命令を受けて対応することがありません。
この点、派遣は自分自身でクライアントから指示を受けて動かなければならない分、SESは元々指示を受けている開発業務に集中できるのが強みです。
派遣が向いている人の特徴
派遣が向いている人の特徴は以下の通りです。
派遣が向いている人の特徴
- 自分のスキルを磨きたい向上心の強い人
- 仕事とプライベートの調整を柔軟にやっていきたい人
- 定期的に違う環境に飛び込んで新鮮な空気を吸っていきたい人
それでは順番に解説していきます。
自分のスキルを磨きたい向上心の強い人
あまり経験が多くない領域も含めて派遣登録しておくことで、配属された案件によっては新しい開発手法を経験することもできます。
仕事とプライベートの調整を柔軟にやっていきたい人
働き方の希望も含めて登録しておくことで、あらかじめ仕事とプライベートを調整しておくこともできるのが派遣のメリットです。
仕事とプライベートのオンオフをしっかりつけて働きたい人にとっては派遣の方が向いています。
定期的に違う環境に飛び込んで新鮮な空気を吸っていきたい人
派遣は派遣待ちの期間を除けば定期的にいろいろな派遣先に派遣されます。
常にいろいろな企業を経験して新鮮な気持ちで仕事したい人は派遣がおすすめです。
結局SESと派遣はどっちがおすすめ?どっちがいい?
SESと派遣の違いやメリット・デメリットを比較しながら紹介してきましたがいかがだったでしょうか?
SESは企業に守られながら安定して仕事ができる一方で、なかなか技術者として成長しづらい側面があります。
もしSESか派遣で働き方を迷われているなら、派遣でまずは自分の働き方を見てみてはいかがでしょうか。
まとめ:SESと派遣はどっちがおすすめ?【違いやメリット・デメリットを解説】
今回はSESと派遣の違いやメリット・デメリット、おすすめの人の特徴についてご紹介しました。
SES | 派遣 | |
意味 | エンジニアなどの技術者が必要な企業へ、技術者を提供するサービス | 人材を派遣してほしい企業へ人材を送ること |
雇用形態 | SES企業の中でステップアップできる 雇用が保証されている | 登録型と無期雇用型の2種類がある 無期雇用型なら雇用が保証される |
収入 | 安定して毎月の収入確保ができる | 派遣されていない「派遣待ち」の期間があれば無給 |
就職難易度 | やや難しい | 普通 |
成長機会 | 自分の意思で配属先を選べないため、 成長機会が少ない | 自分で派遣されたい企業を選べるので 成長しやすい |
働くメリット | 安定した雇用形態と収入を得られる 得意分野を考慮して配属してもらえる | 様々な技術に触れてスキルアップ可能 定期的に違う企業に派遣されるため新鮮な気持ちで働ける ワークライフバランスを調整できる 自分の得意な案件に派遣されやすい |
働くデメリット | 基本給がそれほど高くない 労働時間が長くなりがち 新しい技術を習得できない 配属先が満足いくとは限らない SES企業で働く意味が見出せなくなる | 不安定な身分で収入も安定しない クライアント企業と直接やりとりするため仲介者がいない |
向いている人の特徴 | 安定した収入が欲しい人 依頼主との面倒なやりとりなどを避けて開発に集中したい人 | スキルアップしたい・向上心の強い人 仕事とプライベートを柔軟に調整したい人 定期的に違う環境に飛び込んで新鮮な空気を吸っていきたい人 |
今回はSESと派遣について紹介しましたが、IT業界にはSESや派遣以外にもいくつか働き方の種類があります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
自社開発・受託開発・客先常駐の違いやメリット・デメリットを徹底比較
更新日:2024年9月9日