今回はこんな悩みにお答えしていきます。
Web系やSIerに就職してキャリアアップしようと考えている方も少なくないはず。
ところがWeb系とSIerの違いをよく理解しないまま選択を間違ってしまうと、一生懸命取り組んだ転職活動が無駄になってしまうかもしれません。
【先に結論】Web系とSIerの比較表
Web系 | SIer | |
仕事内容 | Webサイトの制作やWebアプリの開発・デザインなどの仕事 | システムの企画・設計・開発・構築・導入・保守・運用などを一貫して請け負う企業 |
職種 | デザイナー、ライター、エンジニア、マーケター、ディレクターなど | システムエンジニア、営業、ディレクターなど |
スキル | デザイン、ライティング、プログラミング、マーケティング、マネジメント | プログラミング、ネットワーク、セキュリティ、マネジメント |
収入 | 普通 | 多い |
将来性 | 高い | 普通 |
キャリアパス | サービス間、職種間を行き来しながらステップアップできる | チームリーダーやマネージャーにステップアップしていく |
職場の雰囲気 | モダン・自由度が高い | 伝統的・ルールが多い |
働くメリット | リモートワークの職場が見つかりやすい 会社に縛られない生き方を目指せる 横断的なコミュニケーションが取れる | やりがいを持って働きやすい 仕事が安定しやすい 成果によって待遇が大きく上がる |
働くデメリット | 労働環境が改善されにくい 修正業務が長期化する可能性 | 将来的に事業が縮小するリスクがある 開発スキルや最新技術を習得しづらい 急なスケジュール変更や要望変更に対応しないといけない |
向いている人の特徴 | プログラミングするのが楽しい人 粘り強い性格の人 表現をするのが得意な人 | 社会に対する問題意識が強い人 コミュニケーションスキルに自信がある人 面倒見がよく人助けが苦でない人 |
IT業界やエンジニア職種ではWeb系やSIer以外にもいくつか働き方の種類があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
おすすめ自社開発・受託開発・客先常駐の違いやメリット・デメリットを比較
おすすめWeb系からSIerへの転職はできる?【違いや将来性もご紹介】
目次
Web系とは?
Web系とSIerのどっちがよいのかを判断するために、まずはWeb系の概要や仕事内容、求められるスキルについて解説します。
Web系の概要
Web系とは、インターネットに関する業界をさす言葉であり、Webサイトの制作やWebアプリの開発などの仕事が該当します。
関係する職種はWebデザイナーやWebエンジニア、Webライターなどです。
ITエンジニアでなくても活躍できるフィールドが見つかりやすい点に特徴があります。
Web系の企業で働いた後は、転職だけでなく独立の選択肢も検討しやすい点は大きなメリットと言えるでしょう。
Web系の仕事内容
Web系の仕事にはさまざまな種類があります。
たとえばWebデザインは、クライアントの要望に応じてWebサイトのデザインを制作する仕事です。
ユーザーが入出力できるサイト画面を構築するコーディングの仕事や、ユーザーから見えないデータ処理システムを構築するサーバーサイドの仕事もあります。
また、ホームページの文章を作成するためには、Webライティングの仕事も必要です。
Web系に求められるスキル
Web系の企業では、職種によって求められるスキルが大きく異なるのが特徴です。
たとえば、Webデザイナーには顧客のニーズを顕在化するヒアリングスキルや、Photoshopのようなデザインツールを扱えるスキルが求められます。
Webエンジニアには、HTML/CSSやJavaScriptやPHPといったプログラミングスキルはもちろん、サーバーサイドの処理に必要なデータベースに関するスキルも求められます。
Webライターには、ライティングスキルをはじめ、サイトを上位表示させるためのSEOに関するスキルも必要です。
Webディレクターには、納期やメンバーを適切に管理できるプロジェクトマネジメントスキルが求められます。
おすすめエンジニア就活はいつから開始すればいい?【Web系新卒のスケジュールを解説】
SIerとは?
次にSIerの概要と仕事内容、求められるスキルなどを解説します。
SIerの概要
SIer(システムインテグレータ)は、システムの企画・設計・開発・構築・導入・保守・運用などを一貫して請け負う企業を意味します。
SIに人物をあらわすerが組み合わさってSIerとなり、「エスアイアー」と呼ばれることもあります。
教育機関や自治体、公共機関、民間企業などのさまざまな顧客と関わるので、適切なシステムを提供するために業界特有の知識も求められます。
SIerの仕事内容
SIerの仕事は、予算や人員、スケジュールの制約を検討しながら、システムに必要な機能や性能を要件定義書にまとめることから始まります。
その後、用意したテスト項目でシステムの動作を調査し、問題がなければ顧客の環境に導入する流れです。
そのほか、セキュリティ環境やデータのバックアップ体制を構築するのもSIerの仕事です。
おすすめSIerは楽しいって本当?【経験者の体験談や口コミも解説】
SIerに求められるスキル
SIerは、顧客が安全かつ快適に利用できるシステム環境を整える必要があります。
そのためには、顧客が望むシステムの要件を的確に抽出しなければなりません。
また、アプリを開発するプログラミングスキル、無線LAN環境を実現するネットワークスキル、外部からの脅威を減らすセキュリティスキルなど、さまざまなスキルが求められます。
Web系とSIerの違い
Web系とSIerを比較すると、収入や将来性をはじめ、キャリアパスや職場の雰囲気などに違いがあるのが特徴です。
Web系 | SIer | |
収入 | 普通 | 多い |
求められる能力・スキル | 職種によって様々 | ITスキルがメイン |
将来性 | 高い | 普通 |
キャリアパス | サービス間、職種間を行き来しながらステップアップできる | チームリーダーやマネージャーにステップアップしていく |
職場の雰囲気 | モダン・自由度が高い | 伝統的・ルールが多い |
ここでは1つずつ比較しながら紹介していきたいと思います。
Web系とSIerの違い① 収入
Web系とSIerの収入について、代表的な職種を挙げて比較してみます。
「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、Web系とSIerに関する職種の年収は下記の通りです。
職種 | 年収 |
Webデザイナー | 478.6万円 |
Webディレクター | 584.4万円 |
システムエンジニア(基盤システム) | 733.6万円 |
したがって、高収入を得たいのであればSIerの職種のほうが適しているでしょう。
Web系とSIerの違い② 求められる能力・スキル
Web系では、SIerと違ってデザインスキルやライティングスキル、マーケティングスキルなど、システム開発以外のさまざまなスキルまで必要になります。
その一方でSIerは、システムの導入から保守までトータルでサポートするので、ITインフラに関するスキルの習得が不可欠です。
たとえば、サーバーを保守するときにはOSのコマンド操作が求められます。
必要な知識をスムーズに学べる学習能力も重要と言えるでしょう。
Web系とSIerの違い③ キャリアパス
Web系はエンジニア、マーケター、デザイナー、ライター、ディレクターといったように職種の幅が広いのが特徴です。
SIerでは、エンジニアとして開発業務を経験していき、チームリーダーやプロジェクトマネージャーにステップアップしていく流れが一般的です。
ITコンサルタントとしてのキャリアパスも開かれており、独立して年収を高めたい場合にも検討しやすいでしょう。
Web系とSIerの違い④ 将来性
近年はクラウドサービスの利用が浸透しつつあり、システムを構築しなくてもビジネスを展開しやすくなっています。
その点、システムの構築を請け負うSIerの将来は、必ずしも明るいとはいえなくなっているでしょう。
反対に、クラウド化が進むということは、Webサービスの活用も増えると考えられます。
Web系とSIerの違い⑤ 職場の雰囲気が違う
SIerの業界構造は下請けを前提としており、外部の人と接する機会が多いため、エンジニアでもスーツの着用が義務づけられている企業が多いです。
その一方でWeb系の企業はデザイナーやエンジニアが働く職場も多いので、遊び心のあるオフィスが多かったり、私服の通勤が認められたりすることがあります。
伝統的な雰囲気を好むのであればSIer、モダンな雰囲気を求めるのであればWeb系が適しているでしょう。
Web系で働くメリット・デメリット
収入やキャリアパス、将来性などを知って、Web系とSIerの違いがおおよそ明確になってきたのではないでしょうか。
まずはWeb系で働くメリット・デメリットからチェックしてみましょう。
それでは順番に解説していきます。
Web系で働くメリット
Web系で働く代表的なメリットを2つご紹介します。
Web系で働くメリット
- リモートワークの職場が見つかりやすい
- 会社に縛られない生き方を目指せる
- 横断的なコミュニケーションが取りやすい
それでは順番に解説していきます。
メリット1:リモートワークの職場が見つかりやすい
Web系はハードウェアよりもソフトウェアを活用する傾向があり、リモートワークとの相性がよくなっています。
たとえば、WebディレクターやWebデザイナー、Webエンジニアなどの職種では、リモートワークに対応した求人が見つかりやすいです。
メリット2:会社に縛られない生き方を目指せる
業務案件のマッチングサイトでは、ホームページ作成やランディングページ制作、Webサイトの修正・更新・機能追加などの仕事/案件が比較的容易に見つかります。
業務委託案件のマッチングサイトの例
メリット3:横断的なコミュニケーションが取りやすい
Web系企業は自社のシステム開発部門だけでなく、営業や企画部門といった関係部署とも連携して開発を進めるのが基本です。
Web系で働くデメリット
引き続きWeb系で働く代表的なデメリットを2つご紹介します。
Web系で働くデメリット
- 労働環境が改善されにくい可能性がある
- 修正業務が長期化するリスクがある
それでは順番に解説していきます。
デメリット1:労働環境が改善されにくい可能性がある
Web系の業界では、仕事をフリーランスに外注できるケースが多いため、社員が辞めてしまっても代わりの人材を補給しやすいといえます。
社員が辞めてしまっても職場に支障が出なければ、労働環境は改善されにくいでしょう。
Web系の企業は、長く勤めたい企業を探すのには適していない可能性があります。
デメリット2:修正業務が長期化するリスクがある
WebデザインやWebライティング、プログラミングやコーディングの出来栄えは、クライアントや上司の主観によって評価が異なります。
おすすめWeb系でついていけない?【対処法やおすすめの転職先も解説】
SIerで働くメリット・デメリット
Web系に対して、SIerにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
それでは順番に解説していきます。
SIerで働くメリット
SIerで働く代表的なメリットを2つ紹介します。
SIerで働くメリット
- やりがいを持って働きやすい
- 仕事が安定しやすい
- 成果によって待遇が大きく上がる
それでは順番に解説していきます。
メリット1:やりがいを持って働きやすい
Web系のサービスはあると便利ですが、必要ない場面もあります。
たとえば、ネットショップが利用できなくなっても、コンビニやスーパーに行けば生活に困ることはありませんよね。
その点SIerは、官公庁や自治体、銀行、運輸物流業など、社会の生命線となるITインフラを構築する立場であり、人々の生活を守っているという実感を得やすい企業だといえるでしょう。
メリット2:仕事が安定しやすい
SIerはBtoBの仕事が中心となり、企業や行政などが利用する業務システムは規模が大きく、プロジェクトの期間が長い傾向があります。
またBtoBということもあり1案件あたりの報酬が多く、Web系よりも社員の年収が多いのもメリットと言えるでしょう。
メリット3:成果によって待遇が大きく上がる
SIerの給与水準は一律に高いとはいえませんが、保有する資格やこれまでに対応してきたプロジェクトの量や難易度などによっては、自身の待遇を大きく上げることも可能です。
SIerで働くデメリット
SIerで働く代表的なデメリットを2つ紹介します。
SIerで働くデメリット
- 将来的に事業が縮小するリスクがある
- 開発スキルや最新技術を習得しづらい
- 急なスケジュール変更や要望変更に対応しないといけない
それでは順番に解説していきます。
デメリット1:将来的に事業が縮小するリスクがある
ITシステムを外注すると開発に時間がかかり、社会の変化にスムーズに対応しにくいデメリットがあります。
その点、今後は多くの企業がIT人材を自社で採用し始める可能性が高く、SIerの事業が縮小したり、優秀なIT人材が流出したりするリスクが懸念されています。
デメリット2:開発スキルや最新技術を習得しづらい
SIerは、要件定義や設計などの上流工程だけを自社で行い、開発に関しては外注に出す企業もあります。
またリスクを抑えるために古い技術を用いて開発を進めるケースも珍しくありません。
その点、将来的に高年収や独立を目指している方であれば、転職したくなってしまうケースもあり得るでしょう。
デメリット3:急なスケジュール変更や要望変更に対応しないといけない
SIerは受託開発のため、どうしても発注主との力関係で劣勢になりがちです。
信頼して開発を依頼されているからこそ、こうした急な対応を求められることもあるのがデメリットといえます。
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Web系・SIerが向いている人の特徴
Web系とSIerの違いを理解できましたでしょうか?
それでは順番に解説していきます。
Web系が向いている人の特徴
まずはWeb系が向いている人の特徴を確認してみましょう。
Web系が向いている人の特徴
- プログラミングするのが楽しい人
- 粘り強い性格の人
- 表現をするのが得意な人
それでは順番に解説していきます。
特徴1:プログラミングするのが楽しい人
Web系の仕事では、プログラミングをする機会が多いです。
たとえば、ホームページの制作でHTML/CSS言語でコーディングしたり、Webアプリの開発でPHPやRubyなどの言語を用いたりします。
特徴2:粘り強い性格の人
Web系の仕事では、プログラミングで思った通りの実行結果が得られなかったり、納品したデザインやコンテンツに対して顧客から指摘を受けたりする場合があります。
特徴3:表現をするのが得意な人
SIerと比較して、Web系ではWebデザインやWebライティングのように、機能よりも表現が重視される場面があります。
SIerが向いている人の特徴
引き続きSIerが向いている人の特徴をチェックしてみましょう。
SIerが向いている人の特徴
- 社会に対する問題意識が強い人
- コミュニケーションスキルに自信がある人
- 面倒見がよく人助けが苦でない人
それでは順番に解説していきます。
特徴1:社会に対する問題意識が強い人
SIerはいわば、あらゆる業界の課題を情報システムのトータルコーディネートで解決する企業です。
顧客の課題を正確に理解できなければ、本当に必要なシステムを提供できない可能性があります。
特徴2:コミュニケーションスキルに自信がある人
SIerはエンジニアだけでなく営業人材が活躍できる企業でもあります。
ITに詳しくないクライアントに、システムを開発して売り出す場面もあり、システムによる解決策をわかりやすく説明できる能力も求められます。
特徴3:面倒見がよく人助けが苦でない人
顧客がシステムを使いこなせるようにサポートするのもSIerの仕事です。
具体的には、システムの運用マニュアルを整備したり、システムを定期的に点検したりします。
改善点が見つかったときやエラーが発生したときには修正を行い、顧客からの質問にも答えなければなりません。
まとめ:Web系とSIerはどっちがおすすめ?【将来性や違いを比較】
今回はWeb系とSIerの違いやメリット・デメリット、おすすめの人の特徴についてご紹介しました。
Web系 | SIer | |
仕事内容 | Webサイトの制作やWebアプリの開発・デザインなどの仕事 | システムの企画・設計・開発・構築・導入・保守・運用などを一貫して請け負う企業 |
職種 | デザイナー、ライター、エンジニア、マーケター、ディレクターなど | システムエンジニア、営業、ディレクターなど |
スキル | デザイン、ライティング、プログラミング、マーケティング、マネジメント | プログラミング、ネットワーク、セキュリティ、マネジメント |
収入 | 普通 | 多い |
将来性 | 高い | 普通 |
キャリアパス | サービス間、職種間を行き来しながらステップアップできる | チームリーダーやマネージャーにステップアップしていく |
職場の雰囲気 | モダン・自由度が高い | 伝統的・ルールが多い |
働くメリット | リモートワークの職場が見つかりやすい 会社に縛られない生き方を目指せる 横断的なコミュニケーションが取れる | やりがいを持って働きやすい 仕事が安定しやすい 成果によって待遇が大きく上がる |
働くデメリット | 労働環境が改善されにくい 修正業務が長期化する可能性 | 将来的に事業が縮小するリスクがある 開発スキルや最新技術を習得しづらい 急なスケジュール変更や要望変更に対応しないといけない |
向いている人の特徴 | プログラミングするのが楽しい人 粘り強い性格の人 表現をするのが得意な人 | 社会に対する問題意識が強い人 コミュニケーションスキルに自信がある人 面倒見がよく人助けが苦でない人 |
今回はWeb系とSIerについて紹介しましたが、IT業界にはWeb系やSIer以外にもいくつか働き方の種類があります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
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更新日:2024年9月9日